ZAP SPEED RACING TEAM





VOL.21:底辺拡張

前回コラムに感想や応援のメールを多数お寄せ頂き感激しております。何時も徒然に書いている次第なのですが、皆さんにしっかり読んで頂いているとは…。本当に有り難いです。気を良くして今回はディープな話題を長編で行きます。

アメリカ、イギリスにこれまで何人かのZAP SPEED卒業生が武者修行に行っている。FJ日本一決定戦で優勝し、スカラシップ(奨学制度)を頂いて渡米のチャンスを得て、昨年AUTO SPORT誌でコラムが連載されていた武田則夫選手もその一人だ。逆に今村選手・井西選手は海外でレースキャリアをスタートさせて日本に戻って来てZAP SPEEDに加入した経歴を持っている。彼等に話を聞くと、日本がモータースポーツ後進国である事を認めざる得ない。(底辺クラスのレースの技術レベルは日本の方が上かもしれない。このことは今後このコラムで書きます。)

アメリカでは最底辺にフォーミュラーダッジがあるが、これは日本のカテゴリーに置き換えるとFJに相当する。しかし、参加者を見ると数・参加層に大きな隔たりがあるのだ。
参加人数は、全米4地区に分かれ、1レースにつき6グループ程度がレースをし、毎回グループはシャッフルされる。1グループが16〜20名程度なので、平均18名として1開催100名位のエントリーが有る事になる。これが4地区なので400名が全米でこのカテゴリーに参加している事になる。もちろん参加者達はエントリーフィーを払うのだから、この開催経費を引いた余剰利益がプールされれば、日本のF-3クラスに相当するバーバーダッジプロシリーズへのスカラシップも難なく設けることが出来る。

この参加者に目を通してみると、お腹の出たオジサン、グレイヘアのオバサン等、本当に広い層が参加している。これが、文化定着しているかどうかの違いだ! このオジサン、オバサンが楽しみながら参加してくれる事によって大きなスカラシップが設けられるのだ。数年後にはCARTやIRLを見ながら「俺はこいつがヒヨッコの時に一緒にレースをしたが確かに速かったぞ。」「チャンプカーに乗ると様になるけど、当時は可愛い坊やだったのよ」なんて事になれば、レースは勝ち負けじゃ無い参戦のしかたもある訳だ。

「日本でもFJ参加者が増えればどうか?」
ミドルフォーミュラーが乱立しすぎていて、経路がはっきりしていないのは問題があるけど、F-4スカラシップ等は確実に増えるでしょう。実際、ミドルフォーミュラーが乱立する前は毎年FJからF-3へステップアップするのが一つの主流な経路で、そのためにFJは鈴鹿で100台以上、筑波で80台以上、東北シリーズでもコンソレーションレース(予選落ちレース)が行われる程活況でした。しかし、現在行われているF-4スカラシップはタイヤ販売益の一部がプールされて捻出されていますが、エントリーフィーは開催の度に主催者が違う為にスカラシップには適用されていないのです。

アメリカではモータースポーツよりもっとレジャーに近いスポーツとして、例えばバスフィッシングがありますが、大きな大会は小さな大会で上位の成績を修めなくては出れませんが、オープンの大会のエントリーではプロ部門とアマチュア部門の選択は自分次第(自己選択)なのです。プロ部門は10万〜15万円($1,000位)のエントリーフィーの替わりに優勝賞金は1,000万円にも昇ります。アマチュア部門は3万円位のエントリーフィーで50万円位の優勝賞金だったりします。プロ部門の賞金は=プロ部門の高いエントリーフィー+スポンサー賞金+テレビ放映料等でまかなわれており、ウェイイン(検量)会場は凄い人が押し寄せます。アマチュア部門の人が1番釣っても(なかなか無いが)プロ部門の1位の人が一番多くの賞金を得ます。参加者の嗜好によって部門を選択出来る訳です。同一レースに混走するGTみたい。アマチュア部門の人は隣で釣っているプロの技術を間近で学べたり、その凄さに感動したり出来るのです。

ショーやショービジネス、イベントや大会の巧さはアメリカ人の才能だなって感じます。

さて、本題に戻しますが、以上の様な事を見聞きすると、レース文化の定着が日本のモータースポーツ界には必要不可欠であり、そのためには有望若手の育成だけでなく垣根を低く、より幅広い層のモータースポーツへの参加が必要な事だと思います。そのためには、セルモさんとかノバさんピア中嶋さんと言った日本のトップカテゴリーをやっているチームでは無く、ZAP SPEEDの様な入り口を担当するチームこそが頑張らなくては、と感じています。だから私はFJ協会等の活動に積極的に協力するのです。

自分の所が良ければ全体の事などどうでも良いというチームが非常に多い事に憤りを感じます(FJ協会非加盟のチームにはご注意を!)が、今後も広い視野を持って、日本のレースの底辺拡張に尽力したいと思います。



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□■ 笹川健志 □■
マネージメントディレクター。チーム運営に手腕を振るう。自分がレースするはずだったのが、いつの間にかレースを目指す若い連中の面倒を見る事に…。内間監督と供に「一蓮托生」理想のチーム創りを目指します。 理想のチーム作りと言うのは皆さんの理想をかなえること。「自分達の時代にもあったら良かったのに!」っていうチームを創る事。 チームが徐々に理想に近づいてゆくのが生き甲斐です。







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