ZAP SPEED RACING TEAM





VOL.9:CRAZY!? 内間青年(後編)

さて、CRAZY内間選手の1993年は、前編に引き続き苦労の連続がまだまだ続きます。

FJ-1600は4輪フォーミュラーのファーストステップとなるわけで、カートやハコで実績があっても、ファーストステップである以上自己投資が基本となります。FJ-1600でドライバーとして実績を残して初めて周りからも認められ、スポンサー等も得られることと成るわけです。勿論相手から申し出て頂ける事は極稀なので、ドライバーとしてPRにも努力することが必要です。だから、上を目指してFJをやるドライバーに苦労しない人はいないのでしょうが・・・。

内間選手(当時)の場合は他のFJドライバーと比べて、ドライビング以外に大きな重荷を背負っていました。知識あるエンジニア・メカニック・マネージャーがいないため、ドライバーとして自分で運転し、エンジニアとして考えたり調べたりし、メカニックとしてレース前夜でも深夜まで作業をし、レースウィーク以外は働きながらレース以外の(当時はレース数が多かった為余り無い)休日にはスポンサーを求める日々でした。とにかく全身全霊をかけてレースに取り組んだのです。

この時期彼自身にどれほどのプレッシャーがかかっていたかは、本人でも自覚していなかった様ですが、彼の部屋に泊まると、いびき・歯ぎしり・寝言(大声)の波状攻撃で翌日寝不足となる事は間違え有りませんでした。自分の寝言のあとにがばっと起きて枕元の飲み物を飲んでまた寝る。しばらくするとまた歯ぎしりかいびきで始まって、息が荒くなってくると「またんかい!」とか「うわぁ!」とか・・・。ドライバーを辞めた途端に静かに寝るようになったことから、本人の自覚はなくとも相当なプレッシャーがかかっていたのでは無いでしょうか。私も、にわかエセトレーナーとして「寝酒飲んだ方がぐっすり眠れるんじゃないか?」等と彼の飲めない酒を飲ませたりしたのですが、あまり効果は無かったようです。(これからレースをする皆さんはレースの前に酒を飲むなど絶対に辞めましょう)

さてさて、1993年の筑波シリーズは内間選手が常にリードしていたのですが、何と!前代未聞の大事件を起こしてしまい、あっさりチャンピオンを決めるはずが、後半までポイント争いがもつれ込みます。その大事件とは=ペースカー追い抜き事件。ポールポジションからホールショットを奪いトップを走行中後方でクラッシュがありペースカーが入ったのですが、トップ集団の後ろに出てきてその周は参加ドライバーが旗の提示が白旗だった為全員ペースカーと判断できず抜いてきて、3秒以上リードを保った内間選手は2周目もコース端を走行する車がペースカーなのか分からずパスしたが、ペースカーが慌てて2位以降の車の前に入り手で指示して後ろにつかせました。バックミラーで確認した内間選手もペースカーの後ろに戻って3秒以上のマージンが無くなった上でレース再開となったのですが、それ以降もトップを走りきり優勝。と、思いきや失格の裁定が下されました。

ポイントで優位に立っていたため、筑波シリーズをお休みして鈴鹿に遠征に行っていたのと、この事件でダブルパンチ(死語?)で目論見が崩れ、圧倒的な速さと強さを見せながらシリーズ後半までチャンピオン争いはもつれた訳です。しかし、無事チャンピオン獲得。翌シーズンは、このFJ-1600時代について頂けたエンドレス様のスポンサーでF-4とCIVICレースに出場となりました。

FJ-1600は確かにスッテプの第1歩。
しかし、スケールこそは違えど、フォーミュラーレースのエッセンスは全て凝縮されていると言っても過言では無いでしょう。地方選手権なので、各シリーズのチャンピオンがいるわけですが、その年のシリーズ参加者の中で1人しかチャンピオンに成り得ないのですから、そんなに甘いモノでは有りません。FJ-1600をやる以上、参加者みんながチャンピオンを取ろうとするのですし、将来トップドライバーを目指す場合、フォーミュラーレースに必要な知識・経験・テクニック等と同時に、一歩目のキャリアがかかってくるわけです。

内間監督が常に高いレベルを見つめさせるのも、ドライバーとして専念出来る環境にこだわるのも自分の経験に基づいた考えで、ZAP SPEED発足以来多くのチャンピオンを輩出してきましたが、内間監督の選手時代は彼等以上の努力を要した事がお分かり頂けたでしょうか?
他チームの不正行為に対して断固戦ったのも、レースをスポーツとして確立しより多くの人にスポーツとして理解して貰おうと考えるのも、自分をかけた競技スポーツだからです。
彼以上かもしれないドライバーを彼と供に育ててきましたが、彼のFJ時代の体制と苦難を最も知っている私は、今でもスパナとステアリングを両手にした、レーシングドライバー内間選手のファンです。

まずは一人目のチャンピオン紹介と言うことで、ZAP SPEED発足前の話ですが、偉大でCRAZYなチャンピオンを2回に渡って紹介しました。



←前のページへ戻る

□■ 笹川健志 □■
マネージメントディレクター。チーム運営に手腕を振るう。自分がレースするはずだったのが、いつの間にかレースを目指す若い連中の面倒を見る事に…。内間監督と供に「一蓮托生」理想のチーム創りを目指します。 理想のチーム作りと言うのは皆さんの理想をかなえること。「自分達の時代にもあったら良かったのに!」っていうチームを創る事。 チームが徐々に理想に近づいてゆくのが生き甲斐です。







ドライバーオーディションスペシャルサイト


ZAP SPEED MAINTENANCE FACTORY (ZMF)

ZAP SPEED Jr.(ザップスピードジュニア)

メールマガジン

チーム員専用ページ

ZAP SPEEDのスタッフがあなたの疑問にお答えします




Copyright © ZAP SPEED.All Rights reserved.


Created by Sidepond advance