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VOL.10:またまたFJ用バージョン3タイヤについて!

去年の年末に恒例になったFJ日本一決定戦で鈴鹿のチーム及びコンストラクターの方とタイヤについて話しをする機会がありました。コラムVol.7でバージョン3タイヤについて、私なりの考えを書きましたが性能や仕様についてではなく、車の動きについての見方や考え方が違っていたのでその事を書こうと思います。

以前にバージョン3(以下V3)タイヤは筑波ではリアのグリップが落ちたと書きました。事実V2タイヤのセットで走らせると簡単にリアがブレークしてしまいますし、タイム的にも一昨年のV2タイヤよりもやや落ちています。今年からレギュレーション変更で94年以前のマシンの使用が出来なくなりどのマシンでも同じような条件になったため、今だから話しますが正直なところ昨年の筑波に関してはオスカーSK96やR&DのFV95、98などの95年以降のレギュレーション合致マシンでフレーム剛性が上がっている車ほどチョットキツイなーって感じていたのです。
その理由は低速の小さなヘアピンコーナーでドライバーが車の向きを変えようとした時に以前より簡単にリアスライドしてしまう割にはそのスライドを止めようとしたとたんに急にリアのグリップが回復して失速してしまいエンジンパワーも食われて、スムーズなコーナリングが出来なくなった為です! 反対に94以前のレギュレーションによるオスカーのSK94、91などはこの辺りの動きがダルでアクセルを開けていけばノンスリが入っていない為インが上手く空転してパワーを食われることが無くマイルドにリアを回しこんでいけました。剛性のあるマシンで低速ヘアピンコーナーでリアの動きをマイルドにしパワーロスを少なくすると最終コーナーでは踏ん張りが利かずに結局タイムが出でなくなってしまい、あらゆるセットをテストしましたがどうしてもZAPではそれを解消できずに悩んでいました。症状からしても路面温度の高い夏場は特に厳しく、7月のレースでは予選上位7台が旧タイプのマシンってことになってしまったくらいで私自身が冬にならないと解決できないかなーって感じていたので、ウチが去年筑波で成績を出せなかったのも当然かもしれません。
(ドライバー諸君ゴメン! やるだけのことはやったので勘弁してください!最近になってやっとセットの方向性が掴めてきたので今年は大丈夫です)

ところがもてぎではニュータイプのマシンでコースレコードを塗り替えるほどですし、ZAPの切替選手がSK96でチャンピオンを取るなどまったくこの症状が問題になりませんでした。何故なのでしょう?もてぎでは小さく回りこむヘアピンコーナーが一つしかありませんが、一番長い裏ストレートに繋がるためヘアピン脱出はもろにタイムに影響してくるはずなのに? そこで私はもてぎでは筑波より全体にコーナリングの平均スピードが高く車速が載っていてエンジン回転数もパワーバンドから大きく外れることが少ない為、限界を超えてリアがスライドした時もアクセルを開けていけば、急にリアがグリップを回復してパワーを食われることが少ない為ではないかなーという仮説を立てていました。もう一つはFJで筑波を走ったことのある人なら解かると思いますがキャブレターの構造上(フロート室の向きにより)FJは低速左コーナーでエンジンがゴボつきやすいという欠点がありますが、もてぎのヘアピンは右コーナーのため、その欠点でパワーを食われてしまうという症状を和らげられたのかもしれません!

そこで鈴鹿での話しに戻りますが、ある関係者から「V3タイヤでFのグリップが上がりややアンダー傾向だったマシンもアンダーが解消され非常に走りやすくなってタイムが上がったのに、何故今年の筑波は全体にタイムが遅いのですか?」そうです! リアが早くにブレイクしてしまうと言う事で、私自身がリアのグリップが落ちたという考えに捕われすぎていたのかもしれません。グリップが上がった、下がったの問題では無く、セッティングの基本であるバランスを上手く出せば良いって事にこと筑波のセットに関しては気付くのが遅かったのです。

私が「筑波では… のような症状でタイムが伸びない!」と説明すると「そう言えば、鈴鹿でも今までは無かったエンジンのゴボつきがヘアピンででるようになった」それで何か対策しなくてはと考えていたらしいのですが、タイムが上がっているため、結局そのままで大きな問題としては捕らえてなかったようです。

切替選手クラスのドライバーが筑波、もてぎの両方に参戦していればデータにとらわれすぎずにもっと早く解決方法が見つけられたかもしれませんが、タイヤの使い方が最重要項目だと自分で言っておきながらV3タイヤへの仕様変更に対し私自身が軽視してしまったのではないかと反省しています。昨年は私に取ってはとても良い勉強になりました。今後同じミスを繰り返さないようにし常にベストを目指し頑張ります。

コラムというより言い訳っぽくなってしまいましたが、一方向からしか物事を見えなくなってしまうとハマリやすいって事を伝えたかったのです(笑)

次回はセッティングに対する私の考えをお話ししたいと思います。



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□■ 内間淳 □■
チーム監督を務める。「プロフェショナルレーシングドライバーを目指して」をテーマにメンタル・フィジカル・テクニックなどあらゆる面での私の知識や考え、また感じたことなど雑談も交えてお話して行きたいと思います。他のスポーツ選手や現在走っているチーム員、また先輩方の走りを実例に挙げた辛口、独断トークありのコラムでチーム員は何時も聞かされている事柄も多いと思いますが是からドライバーを目指す人にも出来るだけ解りやすいように基本的なことから少しづつ書いていきましょう。







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